山口さんのヨーロッパエレキ・インスト傑作選
〜 古川さんへのオマージュ〜

エレキ共和国のみなさま,初めまして。
長崎の山口と申します。
 今まで,ヨーロッパ・エレキ・インストについて,あれこれ書く機会もあったのですが,なぜか,このような形で書かせていただくことはなかったように思います。
思えば,昨年,私が敬愛する久留米のレコードショップ,「ビッグビート」の店長,古川幸始さんが52歳の若さで亡くなってからというもの,心が晴れません。
 私がヨーロッパ・インストに再度目覚めたきっかけは,古川さんです。実に,いろいろなことを教えていただきました。ただ,表に出るのを嫌う人でしたので,音楽雑誌への寄稿とかは(勧めたこともあるのですが)一切されませんでした。 そんな古川さんからもらったヨーロッパ・インストの90分カセットが2つあります。もらったときに,そのほとんどの音源がその後10年の間にCD化されるなどとは夢にも思いませんでした。何度も何度も聞いたものです。その中には,私がバンド名だけ知っていて,頭の中にずっと残っていたもの,たとえば,フランスのフォー・ドリーマーズ。曲名だけ知って気になっていたもの(ギターズ「涙の星屑」),一度ラジオで聞いただけのもの(フィンガーズ「愛の収穫」)など,それこそきら星のごとくあったのです。
 今回,そんな古川さんへのオマージュとして,私なりの「傑作選」をつくってみました。
共和国の皆様方に,何かの参考にしていただけたら幸いです。
 なお,この「傑作選」は実際に60年代当時日本でレコード発売されたものを中心にしていて,1バンドにつき1曲に限っています。順位はつけておりません。
エマの面影ザ・サウンズ / フィンランド)
ヨーロッパ・インストの魅力がぎゅっと凝縮されているこの曲。私が一番好きなこの曲には,言葉では語り尽くせない程の思い入れがある。サウンズとは今でも関わっており,私もたぶん日本ではただ一人のサウンズ・クラブのメンバーとなっている。
○夜霧のハイウェイ(ジ・アヴェンジャーズ / フィンランド)
日本では,誤って(?)サウンズの曲としてシングル発売された曲。そのメロディーの美しさは他の追随を許さない。それにしても,この疾走感は。。発売にあたり,日本フィリップス側が「ハイウェイ」を連想したのもうなづけなくもないが,原曲は戦争をテーマにしているとのことだ。
哀愁のカレリヤザ・フィーネーズ / フィンランド)
当時,フィンランド原盤であったので,フィンランドのバンドとされたが,今では誰もが知ってのとおり,スプートニクスのウインバーグの多重録音。当時のライナーには「リード・ギターのキャパロウが・・」なんて適当なことが書いてある。それにしても,失礼な言い方で申し訳ないが,当時ライナーを書いていた人たちは,圧倒的な情報不足を自分の想像力で埋めていたことに今更ながらに驚かされる。この曲には「旅の道連れ」というタイトルがつけられたこともある。原題は「御者」を意味するとのことだから,実はその方が近いとも言える。
サンダー・ネストザ・スプートニクス / スウェーデン)
彼らの最初期の躍動感あるこの曲を知ったのも前述のカセットであった。まさに,ロックである。
ボー・ウインバーグ氏は,スペインでの転地療法がよかったのか,最近は体調も回復しているとのこと。いまだ現役である。
ゴンザレスザ・シャドウズ/ イギリス)
寺尾聡が大好きな曲。「アパッチ」より断然かっこいい。ほかにツイン・リードの「マン・オブ・ミステリー」も私の好きな曲。
○さすらいのバラード(レ・フィンガーズ / フランス)
日本人好みのスローな哀愁に充ち満ちたインスト。名曲である。彼らの演奏技術は高いレベルにあり,その他大勢のアマ上がりのバンドとは一線を画していた。
悲しきヤング・ラヴレ・プレーヤーズ / フランス)
ポリドールで,スプートニクスに次いで多くのシングルを出していた彼ら。中でも,サイド・ギターの代わりにピアノを配したこのロマンティックなこの曲。その後は,レターメンのボーカルとしてヒットした。彼らのCDが日本で発売された折りには,私もフランスから送られてきたモニター・カセットの曲目のチェック等でかかわったのが,今では懐かしい。余談だが,「朝日のあたる家」をフランスで最初に録音したのは彼らである。
情熱の涙Z・Z・マスカーズ / オランダ)
黒いパーティ・マスクをつけた異色のバンド。彼らのインストは実に変化に富んでいるが,スペイン・フレーバーのこの曲はとりわけ注目に値する。リード・ギターのホント氏は最近,またインスト・シーンにカムバックしたが,まったく同じサウンドだ。古川さんも好きだったバンド。ホント氏からのサイン入りの写真を彼に送ったのは亡くなる少し前のことであった。
心のときめきウイリーと彼のジャイアンツ / オランダ)
福岡の放送局から火がついたこの曲。テイチクの洋楽系では売れに売れたのではないだろうか。リード・ギターのウィリー・ウィシンクの弾けるようなギターサウンドは,当時インド・ロックと呼ばれた。インドとはオランダと関係の深いインドネシアのこと。原曲はココナッツの木を揺さぶって,ココナッツを落とす情景を歌ったものだそうだ。ムスタングスのオランダ公演で,この曲が大変な好評を博した。彼らに演奏を勧めた甲斐があったというものだ。
○ブルー・スカイライン(ザ・ヴァイオレンツ / スウェーデン )
確かテイチクのエバーグリーンシリーズの1枚。彼らは日本では,過小評価されているがファンタスティックなギタリストであるハッセ・ローゼンを擁し,本国やヨーロッパでは評価が高かった。スウェーデンでは名実共にNO.2のインスト・バンドだろう。
○パルチザン(レ・ファントムズ / フランス)
フランスでツイスト・ブームに乗って登場したグループ。ルックス・着こなし・ギター,すべてにおいて日本人が考えつくフランスらしさがそこにあった。
○涙の星屑(レ・ギターズ / フランス)
日本フィリップスから紹介された。この曲を聴きたくて,ラジオの深夜番組にリクエストした思い出がある(かからなかったが)。フランスのスプートニクスと称された彼ら。人気歌手シェイラのバック・バンドもつとめていたので,当時の貴重な映像も残っている。
○ナターシャ(ザ・フォー・シェーカーズ / スイス)
同じく日本フィリップス。彼らはスイスのアマバン・コンテストで勝ち抜いてのし上がったバンド。この曲は,同じスイスのレ・リラックスというバンドの看板曲であった(ただし彼らは,オルガンがリードをとっていた)。まさに日本人好み。「それにしても,当時の日本のレコード会社は,よくもまあこんなに日本人好みの曲をヨーロッパ中から集めてきたものだ」と古川さんも感心していたのを思い出す。 最近,幻のサード・EPの音源を含む彼らの全録音が,フランスのマジック・レコードからリリースされた。発売まで15年以上を要したこの企画。私の友人でもあるフランスのバシュルリー氏の執念ここに実る。
○ブリジッド (悪魔のギター / フランス)
前述のカセットの中の白眉。テクニックを駆使した恐るべきスーパー・インスト。日本でも「かっこいいツイスト」とかシングルが発売されていたように思う。当時,フランスではやたら「悪魔の〜」というのがはやっていたらしい。悪魔のギターとはバンドではなく,個人のギタリストである。「涙の星屑」の作者でもある。
○ゴールド・フィンガー(ザ・ゴールド・フィンガーズ / オランダ)
日本フィリップス。本国ではジェッツと名乗っていた。日本で出た「クリスマス・アルバム」は日本市場だけの企画物。彼らは「サンダーボール作戦」も録音している。
○アフリカ(ザ・ジャンピング・ジュエルズ / オランダ)
シャドウズが好きな人たちは例外なくこのバンドが好きなようだ。紛れもなく,オランダでは押しも押されもせぬNO.1。録音したインストの数も最多である。彼らの残したすべての曲が一度は聞く価値があるといってよい。惜しむらくは,カバー中心でオリジナルが少ないことか。アレンジ・センスは抜群で,「天国と地獄」をインスト化した「ジャンピング・カンカン」などもある。
エル・チョクロザ・ジョーカーズ / ベルギー)
日本でも通の間で人気が高かった彼ら。テイチクでは「フェビュラウス・ジョーカーズ」と名乗っていたが,同じバンド。名曲が多すぎる彼ら,日本では「ドナウ川のさざ波」「タブー」「モスコー・ギター」「剣の舞」などをあげる人も多いが,ラテンのこの曲における音色こそ彼らの真骨頂と言えるだろう。なお,「クリスマス・アルバム」は日本側の要請でつくられた企画物で,ゴールドフィンガーズの場合と同じ。彼らの60年代の録音もののほぼすべてが,オランダの「レアリティー・レコード」でCD化された(4枚)。
ジャンゴザ・クリフターズ / デンマーク)
名前の由来はクリフ・リチャード&シャドウズを目指すバンドということでつけられた。ボーカル・インストバンドである。彼らの予想に反して(?)録音に採用されたこの曲が,ヨーロッパ全土にわたるヒットになろうとは。。「悲しきコサック」や「ミッシング・リンク」などのインストも出来がよい。最後のインスト・シングルは「ローマの休日」!冒頭が「シャザーム」にそっくりなのは,よく話題になるネタ。
○イン・ザ・ムード(ザ・ロッキング・ゴースト / デンマーク)
彼らはインストよりも「ベリンダ」というヴォーカル・シングルが有名だろう。しかし,彼らのインスト曲もイージー・リスニング風で,また耳に心地よい。おそらく,この曲は彼らのお気に入りだったにちがいない。というのも彼らのテーマ曲の「ゴースト・ウオーク」はこの曲と実によく似ているからだ。
クルーエル・シーザ・ダコタス / イギリス)
思いのままに綴った傑作選,最後はヴェンチャーズでもおなじみのこの曲。彼らは「ダコータス」と発音するのが正しいらしい。イギリスに行ったとき,「ダコタス」と発音したら通じなかった。もともと予定されていた原題は「クルーエル・サーフ」だったらしい。まさに,日本人好みの曲。彼らが残したインスト曲は実に少ないのが残念だ。当時のラジオでは多くのインスト曲を披露していたらしいのだが。

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